#1でも述べましたが、よく「海外に行くと価値観が変わる」と言います。私は何の変哲もない観光旅行をしたつもりなので価値観なんて変わるわけないだろうと思っていましたが、それでも数々の奇跡と思える体験をしたことで、価値観の一部が変わり、一部は変わらなかったという実感を得たものです。では、何が具体的に変化したか、整理してみましょう。
日台間の文化・言語のギャップ
まずはこれでしょう。台湾では、中国語が話されています。ほとんどの台湾人は、マンダリン(台湾華語)という、中国大陸とほとんど同じ言葉を喋っています。もしあなたが中国語を習っているのなら、その中国語は文字を繁体字式に変えればそっくりそのまま台湾でも通じると思います。
加えて、台湾では、台湾語(台湾閩南語)や客家語、その他少数民族が話す言語なども話されています。台湾語や客家語は中国語の方言みたいなもので案内放送でもこれら2言語の放送が付帯しますが、いずれも、いかんせん話者が少ない、マンダリンしか話せないみたいな台湾人もいて、他の言語はマンダリンほどメジャーな言語ではありません。中国語が通じれば全てとは言いませんがほとんどの台湾人と話が通じることでしょう。
そういうわけで、問題は私が中国語を理解できるかどうかという点にあるわけですが、私は中国語は半年間大学で習ったばかりであり、中国語はうまく聞き取れませんし知っている語彙も限定されます。
言葉がわからないことがあるのは苦しかったですが、実際に違う国に行ってみて、確かに日本語とは違う言語や慣習、常識などで成り立っている文化があるのだと初めて認識しましたし、中国語をもっと勉強しなきゃな、他の国の人とも会話できるようにならなきゃなと、危機感を覚えたものです。実際にやるかどうかは別ですが、Duolingoなどで学習していきたいですね。
また、自分が外国人となってみて、インバウンドになった気分がわかる気がします。台北101のインバウンド料金や台湾新幹線のフリーきっぷの仕組みを通して、インバウンド政策について考えるきっかけになりました。
日本にもJAPAN RAIL PASSや、外国人向けに高額な、または安価なサービスを提供しようという動きがあります。安価にしすぎると外国人が来すぎてひかり号が混雑みたいなことになりますが、アバターカフェDAWNなどは、外国人向けの高額な料金を取っておきながら、依然外国人に人気の日本の技術を楽しめるカフェです。今も外国人からもっとお金を取るべきか取らないかの議論が盛んですが、自分が海外でインバウンドと呼ばれる側の身分となったことでインバウンド制作について少しでも深みを持った議論ができるようになったんじゃないかと感じます。
加えて自分がインバウンドとなった身としては、外国語表記のありがたさを実感しました。それらは読点と句点が中国式に真ん中にあったり、ところどころ文法的におかしかったりする部分もありましたが、一生懸命説明しようとしてくれている心意気が伝わります。
1人旅で台湾をめぐるということ
もちろん、行けなかった故宮博物院や足つぼマッサージ店などを始め、台北や台南のほかの場所や、島の山間部・東部・澎湖などの離島エリアなど、行けていない場所が多数あるのでそこも見ていけば価値観なども変わるのだろうと思いますが、私は、とりあえず「海外とはどのようなところか」ということを学ぶために行ったのでした。そのために、海外慣れしていない私が日本人に優しい地域に行くというのは当然といえましょう。同じ国でも、地方では外国人観光客を意識していない可能性がありますからね。
さらに、今回台湾島の主要な観光地を巡ることで地理感覚をつけて、話のネタであったり、次行こうとする時にどこに行ったらいいか目星をつけることができます。
私は、1人で回ることで、台湾という土地がどのようになっているのかを、自分のペースで、自分の思考を交えて理解するのに役立ったんじゃないかと思います。
そして、私が日本人であるということに大きな意義があります。台湾はよく日本に支配されたことのある国の中で最も親日的だと言われます。私が日本人だと知ると歓迎するように微笑まれたり、日本語で応対してくださりました。
中には、台南エキスポの係員みたいに中国語しか話せなくて不親切な人も当然いるわけですが、行きの新幹線では仕事で台南に行くという台湾人のお兄さんが日本語で話しかけてくれたり、ホテルでは台北・高雄・日帰り温泉の北投ともに日本語ができるスタッフが、片言ながらも色々と教えていただいたり、桃園空港では日本語が話せる台湾人のおじさんに通訳して助けてもらいました。
台湾新幹線に乗る時は英語で応対してくださいましたし、グリーン車に調子に乗って乗車した時も英語と日本語を交えてコミュニケーションしました。
中国語が下手でも、日本人がわかる人、日本語と同じような文字による筆談、英語と非常に簡便な中国語、これらに助けられて旅行を完遂することができたのでした。
私は、行きの新幹線で出会った台湾人のお兄さんに言われたことを覚えています。彼は、大学生の私が1人での初めての海外旅行で台湾を巡る4泊5日(結果的に5泊6日になりましたが)の旅行をすると聞いて、「勇気すごい」と言ってくれました。
正直、私よりも色々な国に行っている大学生なんて他にもたくさんいるだろうとは思いました。でも確かに大人ですら海外旅行は勇気のいると考える人もいるわけで、その中には国内旅行ですら1人でできないという人もいるかもしれません。
慣れない言葉に慣れない環境、それでも海外に行きたいというのは海外への好奇心と実際に行動に移すための勇気であります。私は、彼の言葉を随時思い出し心のお守りとしたものでした。
一方で、海外での1人旅が不安という方も、旅行者が多い台湾なら選択肢も1人きりだけが選択肢というわけではありません。
私は、延長された5日目に台北駅でツアー旅行の日本人団体を見ました。今まではツアー旅行なんて旅程を拘束するだけじゃないかというふうに思っていましたが、ここは言葉も通じない異国の地です。分からないことがあれば積極的に聞ける環境があるということで、このツアーガイドの手厚い案内を聞いて、海外旅行としてはいい選択肢になりそうかと感じます。この辺りは個人の旅行スタイルに左右されますね。
桃園の奇跡
今回の台湾旅行で、これに触れないわけはいかないでしょう。この旅行最大のアクシデントです。しかも、桃園空港で払い戻しと駆け込み乗車の2度の奇跡を体験しています。
まずは、24時間運休・払い戻しの事案です。事の顛末は#9に詳しく書いてありますが、この事故によって不覚にも旅行期間が延びました。幸い予定を入れていなかったので助かりましたが、悪天候で運休などということも発生しなくはないので、予定を柔軟にずらせるようにはしておきたいですよね。また、予算が増えるリスクを取って飛行機の席を予約してしまうのではなく、もういっそのこと諦めて次なる選択肢を探すという切り替えもこういう時になると大事なのかも知れません。
払い戻せるという奇跡を過信してはいけません。もしくはフルキャリアのような乗機変更に柔軟な航空会社を使うかですね。
ともかく、今回は24時間遅延してくれたということ、情報を通訳してくれた男性と、ライブチャットには本当に助けられました。空港泊はなかなかきつかったですが、今まで避けていたかもしれない過酷な体験をすることができました。
私は、旅行へ行く前に海外旅行保険に申し込みましたが、そこでもし6時間以上の遅延で払い戻しができない際に1万円が返ってくるオプションに申し込みました。今回は奇跡的に払い戻せたので助かりました。ジェットスターが払い戻せなかったら旅費が20万円を超えてしまって、流石に予算オーバーですからね。
また、正規に乗れたピーチにしても預け荷物のお金についても私の不備があって余計に払わなければいけなかったことから、LCCを使うには本当に用心して使わなければいけないなというのを度重なる苦難によって実感しました。きっと向こうは私なんて迷惑客だろうと思っていますよね絶対ね。
もう一つの奇跡が駆け込み乗車ですね。詳しくは#11に書いてありますが、先ほど書いた運休の影響により空港で2時間しか眠れなかったことで、寝ぼけていて自分がボーディングブリッジをくぐった体験が夢を見ているように感じたことです。
至極当たり前のことだろうと思うかもしれませんが、多くの人にとって海外に行ったと実感するのは飛行機を使う時、特に離着陸時と、各空谷の保安ゲートと搭乗ゲートを潜って実際に乗機する瞬間なんじゃないかと思います。
その大事な瞬間がはっきりとわからないでいると、自分がどこにいるのかもわからなくなってしまいまして、あたかも「ここは本当の目的地ではないかもしれない」「別の次元に行ってしまったかもしれない」という感覚を覚えるものです。
私は、もしかしたら乗り遅れて2度と台湾から帰国できなかったかもしれないのに、早め早めの行動を心がけられたおかげでなんとかまさに九死に一生を得たような感覚がありました。まさに私の身柄を本国へ送り届けてくれた命の恩人です。私は転んで傷までつけたはずなのに、よく何も忘れ物をせずに帰ってこれたものだと思います。荷物を預けるのに追加でお金はかかりましたが、その勉強代も高くはないです。
そういうわけで、私は着陸した時に日本語の表記を見ても、いや、ここはパラレルワールドなんじゃないかと思うようになり、特に日本に着いた日中はここが本当に2024年8月までにいた日本と同じ日本であるのかと疑いまくってました。
しかしその感覚も、この世界が空想や虚構、パラレルではないことを示す証拠を観察することでその疑惑は数日から数週間でなくなり、海外旅行後の「新しい」、しかし行く前とほとんど変わらない日常を現実のものとして受け入れていくことでしょう。
なお、ある夢占いのブログ記事によると、「予定していた飛行機に乗り遅れるものの、元から早めの行動を心がけていたなどで、本来の約束の時間になんとか間に合う夢が印象的だった場合、自分と他人の間にあった、誤解や認識の差が埋まりつつあることを示している」と言います。私は現実にそれが起こったので、夢占いとはまた違うかもしれませんでしたが、寝ぼけていたのでこれも夢占いの範疇だと思いますし、この「実在の」出来事も何かのメッセージのように思えてなりません。
この台湾旅行は本当に奇跡を連発した旅行、払い戻しもできたしものすごい幸運でした。私には夢や幸運を達成できる力があるということらしいです。卑下しがちな私には良い天啓であると信じたいです。
皆さんも、こうした信じられないような出来事が起きたら、この出来事をよく振り返ったり共有したりして幸運を深く感じ、その奇跡においてお世話になった人に感謝するべきなんじゃないんでしょうか。その感謝が、人生をより良くする糧になると思われます。
15.5万円は学生には高かったですが、海外旅行としては奇跡的にリーズナブルな値段で充実した経験ができました。この経験を大切にします。
連載記事:2024年夏台湾旅行
第1回記事付属のサイトリンク:
海外に行っても価値観なんて変わらない?それでも行くべきところのみに絞ってみよう【2024夏台湾#1】 | 分霊コネクション (bundrail.net) | ※サイトリンクの位置に飛びます