鉄道趣味全振りの旅行は全く面白くない。旅行で、交通趣味よりも大事にすべきこと

旅行鉄道

2023年7月、私はとある場所に旅行に行ってまいりました。そしてその主要な目的の一つが、大阪ATCで行われたアバター祭りです。

これまで、私のブログでは、行った場所と何に乗って何をしたかの記録を詳細に記載しておりましたが、今回の旅行の報告ツイートでは特にそれがありませんでした。もしかしたら不思議に思った方もいるかもしれません。

実は、今回の旅行の目的はかなり乗り鉄と、私の旅行を編集された動画にして公開する予定があったからです(のちに没になりました)。そのため、動画編集者より、乗車した鉄道に対する確実な素材の回収を頼まれていました。

この特殊な事情が災いして、まともに旅行を楽しめなくなっているという現実に気づかされました。いくつかのノルマを果たして、できるだけたくさん鉄道素材を回収してほしいという指令が設けられたものですから、撮り鉄と音鉄に全振りした旅行をするわけですが、結果つまらなかったです。

それでは、乗り鉄・音鉄第一主義の旅行のどんなところがつまらないものか、どうすれば楽しくなれるかの書いていきます。今回の旅行で4パターンのデメリットが出てきたので、私の今回の旅程を交えながら、順番に解説して、いこうと思います。

参考:当時の私の旅程(一部省略)

  • 1日目:2023年7月17日(祝)
  • 2日目:2023年7月18日(火)
  • 3日目:2023年7月19日(水)
    • 特急しらさぎ6号 金沢→名古屋(グリーン車)
    • 名鉄特急一般車 名鉄名古屋→豊橋
    • 東海道新幹線こだま 豊橋→名古屋
    • 東海道新幹線ひかり 名古屋→新横浜

私の目的は、ただATCのアバターまつりを見てくることと、そのついでに東海道新幹線こだま(三島以西の東海道新幹線こだまは未乗だった)・ひのとり・サンダーバード・しらさぎという4種類の特急に乗車することでした。旅行日の前日である日曜日の夜まではバイトをやっており、木曜日は朝から授業だったのでこれが最適解だと思ったのでした。

後で詳しく解説しますが、サンダーバード・しらさぎは完全廃止になると思っていたので、その前提でサンダーバード・しらさぎに乗ってきました。あまりに乗り鉄にこだわった結果、私はどうなってしまったのでしょうか。

パターン1:良くない宿泊環境と、どこでも食べれる飯

海の日、横浜を出発し、新幹線こだまと近鉄特急ひのとりを乗り継いで大阪の難波に到着します。難波の街をについたのは21時ぐらい。外も真っ暗です。

さて、私がどこへ泊ろうとしたかというと、快活クラブです。快活クラブに人生で初めて宿泊したこと自体はとてもいい体験でした。その様子は別の記事で取り上げようとも思います。

今回、私は快活の使い方についてよくわからなくて、安いという理由で鍵付き個室ではなくて禁煙ブースの方を選びました。つまり外から見られる可能性があるという場所で、追加の毛布などをうまく使って光をさえぎって寝る必要があります。

これはとても素晴らしいサービスなのですが、かなり体の健康を害するものがあります。やはり寝心地はベッドには劣るものですが、寝転がらせてくれるだけありがたいと思います。野宿よりは非常に快適でした。

ところで、快活クラブにはナイト8時間パックというのがあり、これを用いると非常にお得に宿泊をすることができます。

私は22時に入店したので、6時までに退店しないとナイト8時間パックの恩恵を受けることができません。

6時からやっている店は限られているわけです…朝マック。いつも食べない時間・場所であるだけ新鮮ですが、言うてどこでも食べれるものです。サラダを入れているとはいえ、お世辞にも体にいいとはいいがたい品です。

難波という大都会に位置しているからか、最近にしては珍しくここは24時間営業で掃除する暇もないんでしょうか、店内はにおいがきつかったです。

睡眠や食事環境が悪くて、旅行が楽しいわけがないですよね。

初めての快活クラブの経験と、宿泊費を削った分特急課金代にかけられたのは良かったですが、翌日はさすがに反動でベッドで寝たいと思いビジネスホテルを予約しました(金沢駅近くに快活がないという理由もありましたが)。

パターン2:観光できない時間に観光をしようとする

ATCのアバター祭りの撮影が終了した後、次に北陸へ行かなければなりませんでした。

というのも、2024年の春に北陸新幹線が敦賀まで延伸されて、現行の特急サンダーバード、特急しらさぎが廃止されるからです。

廃止されるという表現をしましたが、私は本当に敦賀以南の特急もなくなると思ってました。でもさすがに12両分のお客さんを1時間に1本しかない2両編成の列車で輸送するなんて無理にもほどがありますよね。増便しようにも、どうせ特急型車両を使うなら特急としての運行を続けようという魂胆なんでしょうね。

そういうわけで、金沢までの運転がなくなるサンダーバードと、しらさぎを乗りに行きます。サンダーバードとしらさぎは、私自身乗りたかった車両なので、乗れたこと自体は非常に良い経験でした。

せっかくなら一番早い、敦賀通過便であるサンダーバード37号に乗りたいと思い、取材もその方向で取り進められていたので、大阪17時42分発の列車に乗るために大阪市内を適当に鉄道取材をしながら暇をつぶしました。

サンダーバード37号は大阪を17:42に出て金沢に20:13に着きます。最速でも金沢まで2時間半かかるんですね。

ところが、この最速のサンダーバードが諸般の理由で遅延して金沢到着は20時半を回ってしまったんですね。最速のサンダーバード37号のはずが、この日は平常時の最も遅いサンダーバードと同じくらいの時間で到着しました。

大事なのは、いつ着いたかです。いろいろやって、ホテルに着いたらもう21時ですよ。このような時間に営業している店は居酒屋か24時間営業のチェーン店くらいです。遅い時間に着いちゃって泣く泣くまずい飯にしかありつけないというのは、1年半前の博多でも経験した話であります。

これを回避するには、早く着くか、晩御飯を特急の中で食べるかしかありません。そりゃ3時間もあったら余裕で食べられますよね。しかも13時に咲洲での用事が終わったので、サンダーバードで急げば16時半過ぎに、遅くとも18時くらいにはホテルにチェックインができます。

しかし、そのサンダーバードは敦賀や武生などに停車するごく一般的な停車パターンのサンダーバードです。こんなものはしらさぎでやればいいのです。

このような夜も深まってきた頃では観光しようにも観光ができません。私はもう二度と乗れないであろうサンダーバード37号を優先して、晩飯は松屋のネギトロ牛丼でした。鉄道趣味を優先すると、旅行なのにどこでも食べられるグルメになってしまうのです。まあネギトロ牛丼は夏のうちに食べたかったのでいいですが。

加えて、昨日は快活クラブでの宿泊であり、洗濯物を乾かしておりません。昨日のシャワーのタオルと明日のズボンのために、絶対に今日洗濯をしないといけないのです。

そして、ホテルの共用の洗濯機は案の定使われておりましたので、コインランドリーを見つけてそこに駆け込みました。

そこで、24時間営業のコインロッカーに400円を投じて洗濯をしなければいけないのですが、釣銭切れで1000円札を両替することもできず、500円玉はそもそも対応していないので先に松屋に行かないといけないということがあったのでした。

タンブル乾燥2回分も併せて600円という大金を払って洗濯をし、コインランドリーの中で暇をつぶしてしました。タンブル乾燥自体はいい時短ですが、自然乾燥じゃないとタンブル特有のにおいがついて嫌という人にはおすすめできませんよね。

晩飯と洗濯が終わったころには日付を回ろうとしていました。金沢に到着する最終の新幹線を見ながらホテルに戻り、床に就きました。

パターン3:観光できる時間なのに乗りたい列車を優先して観光に時間を使えない

金沢に着いたら何をしますか?金沢には兼六園や21世紀美術館などの優れた観光名所があります。どこへ行けばいいかわからないはずの観光客でも、観光案内所へ行ったらどこへ行けばいいか決められる、少なくともそのヒントは得られるはずです。

ところが、私は特急しらさぎ名古屋行き(米原行きではなく)の鉄道取材を命じられていまして、乗車して音鉄をしろというんですね。金沢で一夜を明かした後、すぐに逆戻りをしなければいけません。鉄道取材とはそういうものなのです。鉄道趣味というのは乗りたい・乗るべき列車に従って予定が決まるのです。

そこで、確実にグリーン車の放送を入手するためにグリーン車の特急券を買ったんですね。これがわかりませんが、途中普通車の様子を見に行ったら通路側の席が埋まっていて子供連れも多かったので鉄道取材としては良質な環境だったといえるんじゃないんでしょうか。

後述の理由もありますが、私はしらさぎ6号(金沢09:48→名古屋12:48)に乗車して名古屋を目指しました。

これがいかに無駄か。観光施設やお店など多くの施設は、午前10時とかそのくらいから営業しているものです。営業している時間に行かないで、営業していない時間に行くのはどうなんですか。

そもそも特急が3時間と長い時間走っていてその間暇なのもしょうがないんですが、その3時間全部鉄道取材全振りするのはさすがに自分でやってて頭悪いなと思いましたね。

日が沈んだら観光どころじゃなくなりますから、ちゃんと観光できる時間帯に活動したいです。

というかこれは生活習慣の問題でもありますから、ちゃんと朝起きるところから始めなきゃいけないですよね。まあ前日0時半ごろまで起きてた身としては十分寝たんですが、しらさぎ6号に乗ろうと思わないと普通にチェックアウトぎりぎりまで寝ちゃいますからね。

パターン4:余った時間を有意義に活かさない

三日目、名古屋についた後、どうしてもやらないといけないことがありました。音鉄のノルマの達成をしていないんですよね。

実は、音鉄収録用のレコーダーの電源が浜松を過ぎたあたりで切れてしまっていて、どうにかして豊橋から名古屋までの放送を回収して、映像制作者様にお許しを得られる状態にまでもっていかないといけない訳です。

というのも、旅行日の数日後には東海道新幹線の発車メロディーが「会いに行こう」に変更されるといい、「AMBITIOUS JAPAN!時代の新幹線の放送を通しで回収しろ」という指令を完遂しなければいけないのでした。

実際に「AMBITIOUS JAPAN!」が廃止され、「AMBITIOUS JAPAN!」とそのアーティストの話題がなかったことにされようとしている今、思えば非常にばかばかしいと思いますよ。この命令を下したクソ上司にストライキした方がよかったですね。

豊橋駅から2日前に乗ったこだまと同じ列車に乗ろうとする様子

そのため名古屋到着後、わざわざ豊橋名古屋間を無駄に往復し、名古屋から豊橋ひかりで帰るという愚の骨頂ともいえる所業をこなしてきたわけです。

この無駄な往復を他にどうやって言い訳できましょうか?名古屋豊橋間名鉄で行って豊橋から新幹線だったら筋も通るのですが、なぜかもう一回新幹線で名古屋に帰ってきているのはちょっと自分でも意味が分からないと思います。さすがに私も鉄道趣味に振り回されていた以外に説明する方法が思いつきません。

忘れ物だったかもしれません(し、ある意味そうです)けど、これではしらさぎで午前の便を使ったことを説明できません。もともとレコーダーの電源が切れていなければ午前が丸つぶれのしらさぎに乗らずに金沢駅周辺をもう少し探検したり、昨日味わえなかった金沢グルメを堪能していたでしょう。

もし名古屋に昼過ぎについていたとしても、どうにかして名古屋を満喫した方が楽しい思い出になるのではないんでしょうか。

音鉄ではないみなさんなら、せっかくの旅行なのに愚かなことはしないですよね。

どうやったらまともに旅行を楽しめる?

もちろん、鉄道趣味や取材という軸を掲げて旅行することは決して恥ずべき事ではないです。どのようなスタイルの旅行でも、本人が100%楽しめなければお金をかけて旅行をした意味がありません。

乗り鉄や鉄道趣味優先の旅が楽しければいいのですが、そのせいで観光が中途半端だと感じてしまったのなら、そこは改善する必要があります。

今回、鉄道趣味優先の旅をしてみて、気づいたことがあります。旅行の魅力は旅先での新しい体験に尽きます。新しい土地に行ったその刺激で、心身を回復したり、新しい物事・慣習や価値観を学んだりと、生活を豊かにできるのです。

旅行はその土地ならではの体験と、それを体験できるためのコンディション(健康)を大事にしていかなければいけません。鉄道や節約のために自分の体に負荷をかけるエクストリームスポーツであってはなりません。

もし、旅行に鉄道趣味などの、楽しみを妨害する「ノルマ」があるのだとしたらそれは自分自身が無理をしています。今回の自分は、まさに他人の価値観に従って行動しようとしているような状態と言えます。

そのような状態であるならば、やめて自分が使いたいと思う体験を調べて、そこに躊躇なくお金を投入しましょう。鉄道趣味の「ノルマ」を完遂させ使わない素材をかき集めるために旅行はありません。

行き当たりばったりでいく旅行も楽しめますが、何があるかをある程度下調べして、どこに行くか、何を食べるかをよく考える必要があります。一人の場合はまだマシですが、誰かを旅行に連れていく場合、そうでないと不安でしょう。

私は家族旅行では、近くて、リフレッシュできて、行程に余裕を持つという要件を満たすために余裕をもって旅程を計画するように要求されています。目的を達成するために計画する、まさにビジネスですよね。

具体的にどんな体験を重視したらいい?

どんな体験を重視したらいいかは人それぞれなので、決まった正解はないものです。ただし、健康な状態のままで旅行をするためには、健康に生活するのと同様色々な方面に気をつかう必要があります。

やはり、睡眠・食事・休息・体験のバランスは考慮した方が良さそうです。

まず大事になるのは、睡眠です。旅行というのは時間が押されがちなもので、まず最初に犠牲になると考えられるのが睡眠時間な訳ですが、これを削ったり、安宿でよくない寝具に当たったりしてはいけません。どこまでなら自分が耐えられるかか確認して、十分な睡眠時間を取れるように計画を立てる必要があります。

食事もまずいご飯、どこでも食べられるご飯、食べ過ぎは避けられるべきです。その土地ならではのものを食べたいですよね。

それから、旅行先には雄大な自然や寺社古跡など、魅力的な観光地が多数あると思われます。徒歩移動や車や電車での長時間移動は、大多数の者にとって疲れるものですから、こうしたところに集団で移動する場合は、1番行動がのろい人に合わせてゆとりを持った行動をとらなければいけないですね。ゆったりするために旅行に行く場合は特に、体験と休息のバランスを大事にしながら、程よい刺激のもとに楽しく旅行をしていきたいものです。

今回の旅行は鉄道趣味を優先したい事情があった

ただし、鉄道取材を抜きにしても、今回の様々な特急の乗車体験のために一般的な「旅行らしい体験」が犠牲になることは仕方がなかったことであるという風に感じます。都市間輸送の列車は乗るのが大変ですからね。出発地点と行き先の両方を一回の旅行で訪れなければならないからです。それら両方が自分の住んでいないエリアだった場合、乗車の敷居はぐんと高くなります。

今回乗車した東海道新幹線はアンビシャス惜別の意味もあります。ひのとり、サンダーバード、しらさぎに関しては、優れた設備を持った都市間輸送ということもあり前から1度は乗ってみたい特急だったので、今回乗車できてよかったと思います。そしてサンダーバードとしらさぎは廃止こそ免れましたが、敦賀以北の平野部の北陸本線を快走する姿はもう見られません。

これで「超乗りたい!今すぐ乗らないと一生後悔する!」という列車はとりあえずはなくなったので、しばらくは無理に旅行しようともしなくていいかなとも思いました。

しかし、上の4列車については前から乗ってみたいとは思いつつもなかなか行き渋っていた状態だったので、このような機会を作ってくれたATCのアバターまつりと、それを紹介してくれた方々には感謝したいと思います。

とはいえ、純粋な乗車体験よりも、旅行先での魅力的な体験がなければ旅行は楽しくなくなります。私の場合は後者が充足していなくてつまらなくなりました。

旅行で重視すべき体験は、鉄道が全てではない

今回は鉄道乗車がアバターまつりに次いで(場合によっては、そのイベントよりも)大きな目的という特殊な状況でしたが、ちょっと鉄道取材を優先しすぎてしまったと反省しております。何作るかわからないのに撮っていては取りがい・経験のし甲斐がありませんよ。

私は旅行慣れしておらず、休息と鉄道取材を優先したので、このようなことになってしまいました。旅行していた時は楽しかったですが、交通に全振りしていたせいか、終わったらなんだか達成感があまりなかったということで、反省しております。

これはひとえに、旅先での体験をケチったり、下調べを十分にせず面白いと思ったところに行かなかったことによる弊害でした。時にこの選択が吉と出る場合がありますが、今回は凶と出たのでした。

今回の旅行では特に他人から押し付けられたノルマをこなす感が強くて、自分の意志で旅行できていないみたいでした。修学旅行が楽しくないと思う人も同じような理由でつまらないとおもうのでしょう。

今回の旅行では、もしかしたらさらに鉄道趣味に全振りして、やろうと思えば特急ダイナスターやおはよう・おやすみエクスプレス、終電観測などに時間を使っていたかもしれませんが、果たしてこのように旅行内で鉄道趣味しかしない体験は本当に自分が心から楽しい体験と言えるでしょうか?

みなさんも、最低限の鉄道乗車のノルマを達成したら、あとは、旅行で着いた先の体験や思い出を大事にして、旅行先でやりたいと思った体験にお金を出し渋らないようにしましょう。それが鉄道ファンの鉄道とのうまい付き合い方ですし、現地の経済も活性化します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました