29407人、34365人、59329人。
この数字は、2018年度の新川崎駅、保土ヶ谷駅、東戸塚駅の1日平均乗車数(降車数は含まない)です。
この3駅に共通していること、それは2019年11月に開通する相鉄・JR直通線で飛ばされて、しかも湘南新宿ライン快速にも飛ばされる横須賀線の駅だということです。
なお、この記事では、この3駅と西大井を加えた4駅を便宜的に「横須賀線通過駅連合」と呼びます。
なお、横須賀線各駅(武蔵小杉除く)以外の話はしません。
資料「2018年度JR東日本・相鉄線1日平均乗車者数」抜粋
順位* | 駅名 | 乗車数 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 新宿 | 789,366 | 日本最大 |
4 | 横浜 | 423,651 | 神奈川県内最大 |
26 | 武蔵小杉 | 130,752 | 神奈川県内第3位 |
31 | 戸塚 | 112,606 | 神奈川県内第4位 |
46 | 大森 | 96,972 | 首都圏乗り換えのない駅で最大 |
81 | 辻堂 | 59,425 | 首都圏乗り換えのない駅で第7位 神奈川県内乗り換えのない駅で最大 |
82 | 東戸塚 | 59,329 | 神奈川県内乗り換えのない駅で第2位 横須賀線通過駅連合で最大 |
88 | 関内 | 55,592 | |
89 | さいたま新都心 | 55,551 | |
95 | 高円寺 | 51,763 | 杉並3駅の中で利用者最大 |
101 | 阿佐ヶ谷 | 46,089 | 杉並3駅の1つ。西荻窪は102位 |
ー | 新川崎+鹿島田 | 45,240 | 参考 |
103 | 鎌倉 | 44,838 | 北鎌倉以南で乗車数最大 |
130 | 保土ヶ谷 | 34,365 | 横須賀線通過駅連合 |
147 | 新川崎 | 29,407 | 横須賀線通過駅連合 |
197 | 鹿島田 | 19,161 | 新川崎駅に隣接 |
224 | 西大井 | 15,833 | 横須賀線通過駅連合勝ち組 |
*順位はJR東日本内。
参考:https://www.jreast.co.jp/passenger/
ダイヤ改正による既存のダイヤの影響
なお、これまでの相鉄線・横須賀線・湘南新宿ラインは、この直通線によって、既存のダイヤに影響が出ないような時間に運行されると思われます。
ただし、湘南ライナー1本が減便となります。
これは素晴らしいことです。遭難顰蹙ラインだ!と言って通過駅連合から顰蹙を買わないというのは、素晴らしいものですが、
横須賀線ユーザーが新宿とか武蔵小杉から帰る時、「無駄な」海老名行きが紛れ込むと憂鬱になりそうです。
しかし、直通先の埼京線とりんかい線では、ダイヤ改正が実施される模様。
横須賀線通過駅連合各駅の主張
西大井駅には、相鉄・JR直通線の全ての電車が停車します。(湘南新宿ライン快速・特別快速は依然通過ですが)今回は特に優遇される結果となっています。
東戸塚駅
東戸塚駅は、1980年、横須賀線を現在の線路に分離させた時に、かねてからの請願運動もあり、開業した駅であります。
横須賀線通過駅連合で最大の乗車率
今回調べてはじめてわかったのですが、実は東戸塚駅の乗降者数は杉並三駅や大都会関内・さいたま新都心駅すら超える1日乗降者数。
神奈川県内JR駅で、乗り換え・緩急接続のない駅としては2番目の乗降者数を誇ります(1番目は辻堂)。
この理由としては、周辺に乗り換えの駅がないことと思われます。
この駅の最寄駅は、南方3キロメートルほど行ったところにある下永谷駅と舞岡駅です。
次に、上永谷駅、緑園都市駅、弘明寺駅、戸塚駅と続いていきますが、これらは東戸塚駅から、全て3〜5km圏内の駅です。
つまり、東戸塚駅の半径3km内の円には、鉄道駅が存在しないということになります。東戸塚駅にはほかに競合する相手もなく、一つの駅がカバーする範囲が広いのです。
このようなことが起きると、自ずと駅の利用者も増えてきます。住宅街・マンションとオーロラモール(ショッピングモール群)、コナカ総本店などがその象徴です。
余談:辻堂駅について
ちなみに、昨年僅差で東戸塚駅に逆転した辻堂駅も、その利用者のテリトリーは海岸〜国道1号(茅ヶ崎)付近だけではなく、北は湘南ライフタウン、遠藤(慶應大学SFC所在地)まで含みます。
最近、湘南ライフタウンには町の開発が進んでおり、この地域では神奈中交通が、ツインライナー(連接バス)を運行しているほどです。
快速アクティー通過駅連合(辻堂・大磯・二宮・鴨宮)では最も利用者が多く、アクティーも止めて欲しいという意見もあるほどです。
戸塚は2007年3月に脱退(アクティー停車駅に追加)し、現在利用者は神奈川県4番目に多いです。
辻堂も東戸塚を超える発展が見込まれますが、乗り換え線が通っておらず、通過駅が少ないことからも分かる通り、引き継ぎ通過しない方針でいるでしょう。
混雑概況
私は実際にこの辺りの横須賀線を日常的に利用していますが、朝ラッシュ時、戸塚〜東戸塚は、大船以南横須賀線ユーザーが東海道線に乗り換えたために比較的空いているのですが、
東戸塚でたくさんの客を積み、保土ヶ谷でほとんど満員になります(もちろん両駅での降車客もそれなりにいます)。
そして、横浜駅で大量に降車し客の入れ替えが起こり、列車は東京方面へと進んでいく、というのがいつもの流れであります。だいたいこちらの方が混んでいます。
これらの混雑は、品川、大崎、恵比寿あたりでマシになります。東京・新宿を超えたら、混雑の度合いは完全に下り坂に向かいます。
たくさんの人が乗ってくる当駅ですから、15両編成のホームの端まで埋まってしまい、15両が頼もしい味方であると改めて思います。
相鉄直通線開業による影響
はっきりいって、相鉄直通線が開業して東戸塚が受ける影響はほとんど何もありません。
強いて言えば、左近山・今井・名瀬北部の方の一部住民が相鉄直通線に通勤路が移るかもしれない、といった具合で、それ以外のユーザーについては全く関与しません。
東戸塚駅の混雑はそれなりのものがあります。しかし、最近はそこまで駅利用者が増えていない印象があります。
相鉄線が開通して一番悲しむのが東戸塚駅ユーザーでしょう。でも混雑はそんなに変わらないし、今までのダイヤは崩されないし、武蔵小杉などのような酷い混雑ではないだから、我慢の余地はあると思います。
保土ヶ谷駅
最初に保土ヶ谷駅が開業したのは、1887(明治20)年、横浜(現在の桜木町)〜国府津までの東海道本線が開業した時です。
しかし、1980(昭和55)年に東海道線上にあったホームが横須賀線(旧東海道貨物線)上に移動し、東戸塚・新川崎と共に再開業しました。
利用者概況
戸塚駅や東戸塚駅くらいに乗降者数は多くないものの、保土ヶ谷駅から徒歩1キロほどで相鉄本線の天王町駅や西横浜駅があるので、保土ヶ谷駅の利用者は東戸塚駅に比べて少ないです。
権太坂・法泉よりも西の住民に関しては、東戸塚駅を利用するでしょうし、京急線や相鉄線との距離も遠くないことが乗降者数が少ない原因でしょう。
保土ヶ谷駅は、東海道の4番目の宿場(程ヶ谷宿)があったということで、歴史があり、東戸塚駅ほど開発はされていません。
しかし、相鉄沿線・一部僻地を除く保土ヶ谷区のほぼ全域の需要を一駅で受け負っているということで、今も3万4000の乗客を捌いています。
混雑概況と今後
混雑の度合いは東戸塚駅のそれほどではありません。個人的には相鉄本線普通列車という逃げ道があるだけマシだと思いますが。
今度の羽沢直通線において、相鉄普通列車の混雑は幾分か解消され、相鉄利用者数は少し増えるでしょうが、それも保土ヶ谷の地位を揺るがすほどにはならなく、保土ヶ谷駅はそこまで大きく変わるとは言えません。
保土ヶ谷駅は通過駅連合の中でも西大井の次に変化しそうですが、お世辞にもそこまで変化はありません。
新川崎駅
新川崎駅は、徒歩5分程のところにJR南武線鹿島田駅があり、元々貨物の新鶴見操車場として東洋一の規模を誇っていた、その跡地に横須賀線が通った時にできた駅です。
この鹿島田駅の恩恵で、新川崎駅からの乗車数は多くない印象です。しかし、横浜以南が混んでいるという問題があります(特に東戸塚のせい)。
しかし、両者の乗者数を合わせると述べ5万人弱ほどに達するので、ここも現在は再開発で多くの人口を抱えていることがわかります。
貨物線(相鉄線直通線)への分岐が新川崎〜武蔵小杉間にあり、その線路は鶴見・生麦駅あたりまで並走します。
1番線から向こうの方を見れば貨物線を走る下り相鉄線がいるわけですから、
心理的には新川崎が1番屈辱を味わうこととなると思います。
西大井駅
前者3駅に比べたら、今回のダイヤ改正では勝ち組といえよう、西大井駅。
毎時3本ほどしかないですが、それでも来ないよりはマシでしょう。武蔵小杉駅からの混雑が少しは解消されると思います。
西大井は15833人と利用者数が少ないですが、これはすぐ近くに下神明・中延など競合する駅があるからだと予想します。
しかし、停車する電車が増えることもあり、渋谷・新宿がさらに近くなります。
きっと他の通過駅連合からは羨望の目で見られること間違いなしでしょう。
大都会横浜駅失脚?
横須賀線通過駅連合ではありませんが、実は、意外と経済的にダメージを被るのが、横浜駅。
横浜駅の乗車客は神奈川県内第一位の42万3千人ですが、その人数の多くは相鉄線からの乗り換え客によって賄われています。
今回、相鉄に直通する路線ができたことで、横浜駅での混雑は解消されますが、
東京都から横浜駅を経由せず相鉄沿線に帰宅することが可能になったおかげで、どうせだから横浜駅に寄って地下街とかで何か買い物をしてから帰ろうとかいう、そういう導線が制限されてしまう可能性があります。
そうすると、横浜駅付近の店にお金が入らなくなり、地元の活気に影響を及ぼすかもしれません。
横浜駅自体も中央南コンコースと南コンコースをつなぐ事業があって、混雑は解消されるでしょう。
心配なところではありますが、今後も東急・京急・地下鉄といった、相鉄も例外ではなく、乗り入れる鉄道各社のの主要な駅として、今後も横浜駅の不動の地位は変わらないでしょう。
諦めるな!横須賀線ユーザーの新宿方面の乗り換えについて
横須賀線の新川崎、保土ヶ谷、東戸塚の3駅は相鉄線直通による影響があまりありません。
しかし、落ち込んではいけません。直接混雑には影響しないものの、横須賀線ユーザーは、今まで渋谷・新宿方面に通勤する時に戸塚・横浜・武蔵小杉駅において湘南新宿ラインに乗り換えますが、
また、場合によっては、ちょうどいい乗り継ぎのタイミングができることがあります。
それに関しては詳しくは取り上げないので、他のブログ記事をご覧ください。
まとめ:横須賀線各駅の思惑
新川崎以南全駅:新宿方面への乗り継ぎの選択肢が増える
東戸塚駅(以南):特に目立った影響を受けなくて怒る
保土ヶ谷:相鉄に少し流入するか?
横浜:混雑はしなくなるが、経済的にダメージか
新川崎:目の前で通過列車を見せられて屈辱
武蔵小杉:混雑緩和に期待(詳しくは次回)
西大井:電車が増えてラッキー
品川:横須賀線→山手線大崎方面への客が減るか?
新橋以北:影響なし(総武線→相鉄線への時間が短くなるかもしれない)
次回は、紹介しそびれた武蔵小杉や格上げされた埼京線通過駅連合について語っていきたいと思います。
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次回・相鉄線で混雑は解消されるのか?
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