2つの台南駅。伝統の台鉄台南、謎イベントに巻き込まれた高鉄台南【2024夏台湾#6 3日目午前】

旅行観光

ここまで、1日目は台北、2日目は高雄と巡ってきました。結構詰め込んだスケジュールとなっていましたが、3日目もさらに台湾の乗り鉄をしたりする予定ですが、そこまでノルマは厳しくありませんので、今までよりはゆったりとした行動が可能になると思っております。

本日は午前は台南へ行き、午後は調整日として高雄の市内を周遊してゆっくりする予定です。

台鉄台南駅

急行莒光号に乗ってやってきました、ここは台南駅です。台南が現在一つの街として認識されてから400年の歴史があり、「台湾の京都」と呼ばれ、日本統治時代・またそれ以前から街中に建物が建てられたことが有名です。

乗ってきた莒光号はかなり空いている区間で乗れて良かったですが、岡山駅と台南駅で大量の客を乗せて、この先も特急が止まらない駅など各駅に停まっていくので、土曜日ということもありこの列車も混雑を見せることでしょう。莒光号は日本のJRではなくなってしまった「急行列車」の味わいを残しており、ICカードだけで乗れたり、電気機関車けん引で加減速に時間がかかるのが独特の味わいでしたね。私はこの感覚はおそらくは奥出雲おろち号で経験したのと似たようなのだと思いますが、 台湾では観光列車としてのほかに特急や新幹線と並んで活躍しているのがすごいと思います。しかし、2024年6月には夜行列車の莒光号の運転もなくなり、昼行急行の莒光号もいい加減そろそろ廃止になるような気がします。

台南駅は現在は地上駅ですが、将来的には地下駅になるようです。また乗ってきた急行莒光号もそのうちなくなりますが、新しい日本製の特急車両を入れたり、国営企業化・民営化を進めたりと、このように台湾ではまだまだ鉄道の現代化が進んでおり、今後も台鉄は変化を続けるように見えます。

工事用足場の影になっていない部分だけをみても、古そうな外観の雰囲気ですね。日本風の建物ですが、この建物は日本統治時代に建てられた建物です。駅の改札は入口と出口が別々になっています。現在改装中となっています。

この台鉄というのは特急・彰化方面各停・沙崙方面各停・高雄方面各停の各方面の有効本数が30分に一本と結構少ないのですが、列車の種別が豊かです。在来線特急の自強号、普悠瑪号みたいな列車は新幹線が開業した今も、新幹線では賄いきれない市街中心部へ直接アクセスする需要を拾っています。

台南を散歩

せっかく台南まで来たのですから、台南周辺を探索したいと思います。地下通路には、台南に来ないと台湾に来たとは言えないみたいな広告がたくさん貼ってありました。今回行くのは残念ながら台南市街と高鉄台南だけです。

まずは、中山路を南下し、ラウンドアバウトのところまで向かいましょう。途中の病院や、新光三越なども日本風の建物も見られますが、この先にはそれよりももっと日本らしい建物がたくさん立っていると言います。

ラウンドアバウトの中山路側、国道20号起点と買いてあります。台湾の国道は日本と同じおにぎりマークですが、支線に甲乙丙丁の番号をつけるという変わった習慣があります。

ラウンドアバウトの中に入ってみましょう。バイクや自動車がたくさん通って入るのが大変ですが、頑張ってタイミングを見計らってください。ラウンドアバウトの中は公園になっています。

この公園は湯徳章紀念公園と呼ばれています。湯は中華民国の統治に反対する抗争である二二八事件で犠牲になった日本人と台湾人のハーフである弁護士で、当時台南の学生を庇って処刑されました。現在は、民主進歩党派が台南市長になってきた(その1人、現在の台湾総統頼清徳も台南市長出身)こともあり彼の名誉は回復しつつあります。私は銅像を見た時は彼のことを全く知りませんでして、後で調べて初めて気づきました。

そして、このラウンドアバウト交差点からも古い建物を見ることができます。こちらは台南文学館。元々台南州の庁舎として使われていた建物で、現在は台湾の文学にまつわる展示を行っていました。

向こうに見える建物は日本統治時代に建てられた消防施設・行政施設で、今も現役の消防署です。一部が消防史料館として解放されています。

この二つの建物に挟まれた通りである中正路は、旧勧銀台南支店、林百貨など日本人が建てた建物が多く並びます。特にこうした歴史的な建物が多い170m程の区間は、先ほどの湯の名前を取って湯徳章大路という名前になっています。

さらに、ラウンドアバウト交差点から南の方に行きますと、こちらは台南市美術館となります。これらの魅力的な建物は、私は来た当時何も知識を入れていないので、次に台湾に来た時の楽しみにとっておきます。

ほかにも、まだまだ私が把握しきれないほどの日本時代の古蹟が、これでもかというほどにあります。これらの古蹟は半径1キロの円内に大体固まっているので、歩いて巡ることができます。

台湾で1番古い孔子廟

美術館の反対側に、日本統治時代よりも古い建物があります。今回はこの孔子廟だけを見にきました。400年ほど前の台湾にしては古い建物であったり、静寂な中庭や儒教的な勉強に対する考えが感じられる土地となっています。

台南孔子廟は1665年に創建され、清朝間接統治下の台南市においては、台湾の最高学府であり続けた、儒学の学校のようなものだったということで、この門には「全台首学」の文字が書かれています。東京大学の赤門みたいでかっこいいですよね。中には建物や庭園が広がっています。各所に日本語の案内がありましたが、係の人は日本語を知りません。

こちらは文昌閣という塔です。全体が写しきれていませんでしたが、この塔の中はタダで入れます。階層によって形が違う独創的な建築で、中では学業の神様らしきものを祀っていました。日本でいう天満宮的な感じですかね。中は階段が非常にきついので注意してください。

写真の右下、塔の麓に論語と書いてあって、儒教の可愛いキャラクターで人気を取ろうという気概でしょうかね。

明倫堂もタダで見学できます。ここはかつて講堂として使われていました。

なかなか荘厳な建物です。三合院という台湾の伝統建築の様式に則って作られています。この中にもたくさんの儒教を思わせるものがあります。ちょっと沖縄の伝統建築に似ている印象ですね。この大成殿の中には歴代清朝皇帝や蒋介石を始めとする歴代中華民国総統から贈られた銘板があるようです。この先に入るには入館料が必要で、係の人と話すのが嫌なのでやめました。

この隣にも武徳堂、国民小学校の建物、市民の遊び場など、古蹟が本当に多いエリアとなっております。

沙崙線に乗って高鐵台南へ

10:26発 沙崙行き区間車に乗る

台鉄台南駅から高鉄台南駅に隣接する沙崙(さろん、Shalun)駅へは、日中では大体30分に一本電車が出ていますが、時間帯によって変化します。満員電車です。またしても何も知らない私は、「台湾の鉄道は大したものだ」と思ったものです。ちなみに別の区間で台鉄の普通列車に乗ったときはこれ以上に混んでませんでした。

電車はこんな感じ。沙崙行きの区間車です。30分に一本の列車ですので、乗っていきましょう。

保安駅に停車。人を写さないようにしましたがそれでもかなり混んでいることがわかるかと思います。ここの駅のすぐ近くには十鼓仁糖文創園区があり、今回は行きませんが台湾鉄路直結のサトウキビ工場を改造したテーマパークみたいなのもあります。縁起のいい駅名としても有名です。列車はこの先の中洲駅から高雄方面と沙崙方面が分かれて、JR横浜線みたいな支線に入っていきます。ほぼ全員が高鐵接続の沙崙駅までの乗車でした。

Bundrail氏、台湾の大規模展示会に巻き込まれる

終点沙崙駅から南西方向を眺めると、目を疑うような光景が目に入ってきました。左奥の催事施設に入ろうと非常に多くの人々が行列を作って押し寄せている様子が見えるではありませんか。あれにアクセスするための混雑だったんですね。

しかも建物の横の空き地や建物の中にまで、幾重にも連なって列が折れ曲がっています。ディズニーもびっくりじゃないですか。

なんですかあれは!?下へ降りると臨時のバスらしきものも出ていて大盛況といった感じです。

ホームに、こんな看板を見つけました。宝島百面という副題がついておりますが、このイベントは「CREATIVE EXPO TAIWAN 2024」というようです。数日間にわたって運営されているようで、台湾文化部(中華民国の省庁)主催の大規模展示会だと言います。

台湾のクリエイティブ産業の万国博覧会と銘打っていることからもわかる通り、これは展示会ですね。日本でもコミケとか東京モーターショーとかその手の展示会って色々ありますから、多分そういうやつでしょう。特に今年は1624年に台南にオランダ人がアジア貿易の拠点を設置してから400年の節目の年で、それで大変賑わっていたということなんでしょう。知らんけど。

私はこのイベントに詳しく知らないので、「この列はなんですか?」と案内の人に英語で聞きましたが、「お前何言ってんのかわかんねえ」と中国語で言われ、泣く泣く逃避、外からとんでもないイベントであることを確認しました。私が触れるべきイベントじゃないですね。もし詳細を知っている方がいたらぜひ教えてください。

私は混雑しているところに並ぶのが大嫌いな人間です。気になるのは山々で仕方ありませんが、本題じゃないので潔く引き上げることにしました。ひどく傷つきましたね。

高鉄台南駅の目の前にある日本生まれの新幹線

はあ。まあ気を取り直していきましょう。高鉄台南駅にも日本を感じられるスポットが二つあります。まずは西口にある0系新幹線です。この新幹線は、もともと日本で活躍した後、台湾新幹線の建設のために台湾に運ばれ、建築限界検測車として活躍していました。車両基地に眠っていたところを2023年12月からここで展示されることになりました。

本物の0系新幹線が海外で展示されているのは、ここ台湾の高鉄台南駅前とイギリスのヨーク鉄道博物館くらいです。日本でも、私は埼玉県大宮の鉄道博物館や、京都鉄道博物館に0系が置いてあったのを見たような記憶がありますが、日本以外のアジアで見られるのはまさにここだけですね。中に入ることはできませんでしたので、今日はこの程度の解説にとどめさせていただきますが、静態で見れたのだけでもありがたいですよこれは。

三井アウトレット、こんな駅近に日本が

さて、東口へ移ってこれが台南の三井アウトレットパークです。台湾には3施設のアウトレットパークがあります。

大体三井のアウトレットは田舎の何もないところに突然にあるもんですが、この台南のアウトレットに関しては新幹線の駅すぐ横にあります。もっとも、高鉄台南駅に東口はないので西口から回り込む必要があるわけですが、それでも近い。

なんだかゆめが丘ソラトスみたいですね。鉄道駅のすぐ横という点以外にも、畑しかなかった少し田舎のエリアに高架の鉄道があって豊富な駐車場を完備しているという点はよく似ています。ゆめが丘ソラトスもブルーラインという2路線目の鉄道が来ていて下飯田という別の名前ですが、三井アウトレットパーク台南も2種類の鉄道が最寄駅で両者名前が違います。こんなところまで似せなくていいのに。

ただ、規模は台南のほうがちょっと大きいように見えますね。そりゃ、新幹線駅ですから。奥の方ではそろそろ住宅やマンション等も立ち始めるのでしょうか。今後もさらに見違える景色になりそうな予感がします。

ただ、いくら日本式と言えども、孤独に感じました。台湾は日本と漢字はほぼ同じなので、交通ルールを除けば視覚情報は日本と一緒なんですけど、聴覚情報と嗅覚情報は日本のそれらとは全く異なります。私はほとんどの中国語は聞き取れません。それがマンダリン(普通話または台湾華語)なのか、台湾閩南語(俗にいう、台湾語)なのか、客家語なのかは分かりませんが、通りすがりの台南の高齢者がしゃべっていたどぎつい方言っぽいの以外はたぶん全部マンダリンだと思います。そしてコンビニや夜市などからはよく分からない不快な匂いがします。同じ地球のはずなのに、与那国島から数百kmも離れていないはずなのに、こんなにも違うもんですか。流石に東京と名古屋でもこんなに違わないですが、黒潮の流れを隔てた向こうとは、日本の影響も受けているとはいえ、似ているのは形だけ、文化や言語などは大幅に違うものです。

とりあえず日本を求めて宇治抹茶パフェを食べることで心身を回復させました。足が本当に疲れます。

台湾に来てまで日本食のスイーツだなんて何やってんすか本当に、と思いながら食べましたが、今私が食べた「御前上茶」というのはなんと日本のチェーンではありません。台湾高雄発の静岡と宇治で生産された抹茶スイーツのチェーン店だと言います。現在は台湾島内でしか営業しておらず、日本では食べることができません。当時は「旅行先でマクドを食べる(しかもテイストも日式)」みたいな旅行感ゼロの行動をしているつもりだったのでしたが、案外ハズレじゃなかったですね。

他にも、三井アウトレットパークに入っているお店には日台資本問わず日本食チェーンがあり、こうした店ではファッションとして日本語、ひらがなやカタカナを取り入れていることがあるそうです。実際に商業施設やドラッグストアでは多くの日本語を目にしました。特に日本資本のアニメイトや紀伊國屋とかは日本語の本ばっかりですよ。

台湾人は日本語が話せない人が多い一方で、歴史を知ったり日本資本の商品に触れ合ったり日本人と話したりして日本人に興味を持ちこうして各所に日本語が取り入れられているという印象です。日本における韓国商品(プルダックポックンミョンなど)がハングルそのままで売ってるみたいな感じですかね。もちろん台湾には韓国発の商品もあります。しかし台湾ではその比率が多いです。さすが2言語以上話せる国民が多い台湾です。

それでは、今日は高鐵を少し乗って、ほどほどのところで高雄に帰りたいと思います。なんと商務座(日本で言うグリーン車)に乗ってみることにしました。短区間だと安いですからね。短区間乗車でもグリーン車ならではの飲み物やお菓子ももらえてラッキー。日本語でちょっと待ってとか言ってくれるあたり、アテンダントさんは、僕がよく日本人だとわかるなあという限りであります。しばらくホテルに帰ってスマホの充電と人ごみに巻き込まれた疲れを癒します。

連載記事:2024年夏台湾旅行

第1回記事付属のサイトリンク:

海外に行っても価値観なんて変わらない?それでも行くべきところのみに絞ってみよう【2024夏台湾#1】 | 分霊コネクション (bundrail.net) | ※サイトリンクの位置に飛びます

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