台湾新幹線で高雄へ!芸術と風情入り混じる港町【2024夏台湾#5 2日目】

地下鉄旅行観光鉄道

オレンジ色の筋が入った新幹線。ここは台湾新幹線の左営駅です。この車両は日本の700系が輸出された700T型、正真正銘の日本の新幹線です。やはりところどころ高鉄風にアレンジされるところがあります。しかも、高鉄には日本では消滅した車内販売がまだ生き残っているなど、一世代前の日本の雰囲気を感じさせる物です。

この日はここまで外国人向けのフリーパスというものを使ってやってきました。買う時は片言の中国語と英語で頑張りましたが、わからないこともありながらなんとかなりました。

フリーパスを買われる方は、まず事前に高鉄のウェブサイトまたはkkdayなどの予約サイトから高鉄の有人カウンターに行ってチケットのアクティベートをお願いする必要があります。アクティベートでは、注文番号とパスポートの確認を行い、最初に乗る席を指定するところまでやります。ちなみに自由席はこのフリーパスとパスポートで乗せてくれます。通行する際は正式な自動改札ではなく職員や物を搬入する人が使用するみたいなゲートを使用して駅構内に入場します。

この左営駅からは龍虎塔とか孔子廟が有名な観光地としてありますが、今は荷物を持っているのでまだ行きません。夜に行ったら綺麗らしいですね。

日本で最も美しい地下鉄を擁する高雄捷運

さて、まずは地下鉄に乗り換えて、街の中心部に向かいましょう。新幹線の駅から高雄の台鉄の駅や中心部を抜けて空港の方まで続いているのがこの街の地下鉄、高雄捷運レッドラインです。ここもやはり全てヨウヨウカの残高で乗りました。

まずは、市街の中心に位置し、台湾の民主化デモ運動にその名を由来する美麗島駅にやってきました。オレンジラインとの乗り換え駅。ここの名物は奥にあるステンドグラス、光のドーム(光之穹頂)です。特定の時間になったら光のショーが開催され、見る人を楽しませてくれるんですが、残念ながら私は今回の旅行中にこのショーを見ることは叶いませんでした。高雄メトロの駅はどの駅も近代的でオシャレなデザインが多いです。

高雄メトロは、アニメ調のキャラクターを使った広報活動をしていることで有名です。今まさに推しているのは、こちらの猫。真ん中のオレンジの猫がみかん駅長です。橋頭糖廠駅で飼育されている実在の猫をモチーフにしてキャラクター展開がなされている様です。

こんな感じで「ㄇㄚˊ幾兔」(Machiko Rabbit, まちこ:注音を使っているのが台湾らしいですね)とかいうキャラクターとのコラボブースがあり、左営駅にもみかん駅長専用のブースがあり、日本でもベビースターで有名なおやつカンパニーや江ノ電とコラボしたりと、なかなかグッズ展開を頑張っている模様。日本にも動物駅長というのはたくさんいますが、この様に日本以上にグッズ展開に力を入れていけれるのは、やはり高捷少女などのノウハウがあるからなのでしょうか?

加えて、美麗島駅の地下街には、このようなキャラクターのグッズを売っている店があります。

以前は、高捷少女やライトレールガールズ(輕軌少女隊)といった日本の萌えキャラテイストな美少女が人気を博していました。高捷少女のグッズも売っていましたが、今はもう高捷少女人気は下火になったのでしょうか?どうやらほどほどに規模を縮小してやっているといったイメージ。ホームページやFacebookの頑張りっぷりの割には実店舗展開は尻すぼみになっているという印象を受けました。やはりポット出のファンメイド日式美少女よりも完全に自社オリジナルの方を売りたがりますもんね。

こういう萌え化みたいなのは、日本の鉄道むすめといいなかなかニッチなジャンルですから、いくら日本のアニメ文化が流入しているとはいえ、台湾発のコンテンツが流行するのはなかなか難しいのだと現地のアニメイトを見ても感じるところです。アニメイトに置いてあったのも半分くらい日本IPですし。

鉄道廃線跡が観光地になっているハマセン・駁二エリア

ホテルに行く前に、オレンジラインに乗ってハマセン駅に行きましょう。漢字で書くと当て字で哈瑪星站となりますが、私はあえてこの駅名をカタカナで書くことがあります。

ハマセンという地名は、高雄市鼓山区の海に面した南部一帯を指す地名で、現在の哈瑪星駅付近に位置する旧高雄港駅から伸びていた支線の線路に由来します。この浜に向かって伸びる線路が100年ほど前の日本人によって「濱線」と呼ばれ、これこそが現在のハマセン駅の由来となっています。

この辺りは、鶴見線の浅野駅にその名を残すあの浅野財閥によって埋め立てられました。当時は日本と同じ国でしたからね。日本統治期の大正時代にはこのあたりが街の中心であり交易の中心地となっていたようです。

元々はオレンジラインのこの駅名は西子灣(シーズワン)と呼ばれていましたが、観光客向けでしょうか、駅名が付近を走るライトレールの駅名と同じ名前に統一されました。日本語の影響で変わった駅名というのはなかなか興味深いですよね。

なおこの駅に到着する際には日本語放送もやっていましたが、中国語系3語と英語の音声は「Hamaxing」と発音していたのに対し、英語の文字表記は「Hamasen」であり、そして日本語の放送に「はませい」とあり、なんだか表記の統一感のなさを感じてしまうものです。視覚情報では日治時代の趣を全面に出しているのに対し、聴覚情報からは発音まで日式に屈したら終わりだという感じというべきなのでしょうか。

こちらはハマセン駅に隣接している、高雄港駅の駅舎です。この辺りに旧打狗駅故事館として、高雄港駅の廃線跡の駅舎を活用して昔の高雄の鉄道、ハマセン駅付近の歴史を紹介しており、日本史の勉強にもなるようなところに感じます。無料で入れますが、今回は施設の存在に気づかず、見逃してしまいました。ちゃんと下調べしていたら行ったと思いますが、いかんせん新幹線から降りたてでキャリーバッグを持ったままなのでね。今回は街を見るばかりで、次来た時の楽しみを増やすという意味合いが強い様に思っています。

プラットフォームから古い機関車が保存してあるのが見えます。この蒸気機関車は元々日本の9600形蒸気機関車として日本で幅広く走っていたのを台湾にも導入したSLです。奥に見えるのは例のライトレールのハマセン駅です。

他にも、電気機関車やたくさんの車両が保存してあります。ライトレールの線路上に電線はなく、駅の部分だけ電化してあって、充電で動くタイプらしいです。最新のライトレールと古い蒸気機関車が並ぶ光景は壮観です。

ハマセンエリアには観光地が多く、右上方向の1番出口はかつて西子湾と呼ばれていたようなエリアへ通じるます。今回は行きませんでしたが、武徳殿や英国領事館などがあり、昔から歴史的に重要な街であったことが窺えます。旗津方面へのフェリーもこちらからで、次々回に乗ります。

今回出たのは左側の2番乗り場です。地図で見るとこの緑のエリアが、まさに廃線跡を公園にしましたみたいな形をして広がっています。この公園とライトレールの線路沿いに左の方へ散歩していきましょう。

蓬莱倉庫群

ここは公園のそばの道なのですが、いかにも高雄駅手前の線路で幾多にも分かれて海へ突っ込む貨物ターミナルの光景を呈しています。これは壮観ですよ。この広大な敷地の跡地が、現在では公園として整備されたのです。

道を進んで、目の前に見える建物は哈瑪星台湾鉄道館というまた別の鉄道に関連する施設で、目の前を突っ切る道路もこの鉄道館が保有するのようです。中には鉄道模型などの展示があるそうですが、結構な値段がするらしいし、下調べをしてこなかったので今回はここもスルー。

横目に見る高雄港入り口の門も、遠くから見たら迫力を感じるものです。浅草雷門も地元住民ならなんとも思わないように地元住民なら見慣れた光景なのでしょうが、何よりこちらは空いています。

横浜でいうと、関内という地名がありますが、当時関内の内側では外国人居留地や倉庫群があり、外側(関外)は民間人が住まう場所だったと言われていますが、まさにそのような役割を持っていたのでしょう。現在はざっくりJR根岸線の内側と説明されることがありますが、せめてはっきりわかりやすい境目と言えば万国橋でしょうか。やはり同じ台湾でも台北の北門であったり、西洋で言えばベルリンのブランデンブルグ門や壁など城郭都市のうちと外を隔てる門というのは分かりやすく観光がしやすく観光客が集うものです。

駁二芸術特区

さて、先ほどの写真でも彫刻が少し見えていましたが、先ほどの鉄道館あたりからこの辺りは倉庫街となっており、貿易品を取り扱っていた倉庫が立ち並ぶエリアとなっています。そこを再開発したのが駁二芸術特区。鉄道館周辺から路面電車の駁二蓬莱駅あたりを通って大義公園の方まで線路に沿ってアート作品が並びます。ここは台湾のアーティストにとって作品の展示の場となっており、例えば高捷少女もここから生まれました。

この倉庫というのは倉庫が役目を終えた平成期に往往にして観光名所とされてきたものです。日本でも横浜や函館、舞鶴や敦賀といった港湾都市にはこういった赤レンガ倉庫の建築が残されています。しかしこうした施設というのは大概商業施設などとしてリニューアルされていますが、アートの要素はあまりないように感じます。

ところが、この駁二エリアでは日本のそれらとは異なりアート運動が盛んのようです。屋外のストリート絵画や彫刻作品などが展示されており、歩くだけで楽しいインスタ映えスポットとなっているようです。ちなみに台湾にもInstagramとかインスタ映えの文化はそれなりにあるようです。

企画展示や売店などもあって立ち寄りがいのあるところですが、こうしたところはただ歩くだけでも楽しいものです。横浜にもマリンアンドウォークとか山下公園あたりにパブリックアートを置いたらもっと観光客増えるんじゃないんですかね。まあ横浜はアクセスがいいのでパブリックアートなんてなくても観光客がいっぱい来るわけですが。私が気づいていないだけで常設仮設含めて案外色々なところにあると思いますが、1箇所にまとめて芸術都市みたいに観光PRをしている感が他とは差別化されたポイントとなっていますね。

また、この大港橋というのも高雄港の特徴的な建物です。駁二大義駅が最寄りの2020年7月にできたばかりの新しい橋で、もしここに船が通る時に柱を軸に回転して船を通せるようにする旋回橋という仕組みで、日本では天橋立などで見られますが、台湾ではこの類の橋は初です。中央の二階部分にも階段を用いて登ることができますが、階段付近にストリートミュージシャンの方がいたので遠慮しておきました。橋の向こうはあまり開発されていません。一応商業施設などがある様ですが、立ち入り禁止のエリアもあります。

実は、今回私が泊まるホテルはこの駁二大義駅から歩いていけるので、地下鉄に乗らずに歩いて行きました。なんと高雄で泊まったホテルも日本語対応のスタッフがおり、とても綺麗な雰囲気でした。洗濯もできてとてもありがたかったものです。

この後は、牛肉麺を食べて、高雄の街を徘徊してました。台湾では、夜でも比較的安心して楽しめるというのが観光上の大きなメリットです。三多商圏駅の近くにあるそごうで買い物して帰ってきたらもう22時です。明日も早いですので寝ましょう。

連載記事:2024年夏台湾旅行

第1回記事付属のサイトリンク:

海外に行っても価値観なんて変わらない?それでも行くべきところのみに絞ってみよう【2024夏台湾#1】 | 分霊コネクション (bundrail.net) | ※サイトリンクの位置に飛びます

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